公式URLを毎回探し直していた ― 「公式リンクの正本」を1か所に作って、推測でURLを書かないようにした話
J-WORKSでは、AIが投稿文や記事、設定を作るたびに、公式サイトやSNSアカウントのURL、問い合わせ先が必要になる。そのたびにプログラムやデータベースを探したり、運営者に確認したりしていたため、公開してよい公式リンクを1つのファイルにまとめ、AIにもまずそこを見るよう決めた記録。
検証条件
J-WORKSでは、AIスタッフがSNS投稿・note記事・Webサイトの文章などを日常的に作っている。こうした文章や設定では、公式サイトのURL、無料ツールのURL、X・Threads・Instagram・noteのアカウントURL、問い合わせ先が繰り返し必要になる。ところが、これらの値がどこか1か所にまとまっておらず、必要になるたびに、プログラムの中、社内データベース、運営者への確認、と探し直す作業が発生していた。同じ情報を何度も探すのは手間がかかるだけでなく、AIが「それらしいURL」を推測で書いてしまう余地も残していた。
実行内容
必要になる公式リンクの種類を洗い出したところ、公式サイト、無料ツール、X、Threads、Instagram、note、問い合わせ先の7種類に整理できた。いずれも既に一般に公開している情報であり、パスワードや認証用の文字列のような秘密情報は含まれない。これらを1つのファイルにまとめれば、探し直す作業はなくなり、「公式のURLはここにある値だけ」という基準も明確にできると考えた。正本で管理するのは、公式サイトと無料ツールのURL、4つのSNSのアカウント名とURL、問い合わせ先のメールアドレスである。一方で、正本に入れる情報の範囲は意識して絞った。入れるのは既に一般に公開している情報だけであり、ログイン用のパスワードや、外部サービスと連携するための認証情報は含めない。公開してよい情報と秘密にすべき情報を同じファイルに混ぜると、ファイルの扱いを誤ったときに秘密情報まで漏れるおそれがあるためである。
結果
公開してよい公式リンクだけを1つの設定ファイルにまとめた「公式リンクの正本」を作った。ファイルには「ここに無い情報を推測で作らないこと」「秘密情報は含めないこと」という注意書きと、運営者が値を確認した日付を残した。あわせて、このファイルを読み出すための小さな関数を用意した。この関数はファイルを読むだけで、ネットワーク通信やデータベースへの接続は一切行わない。登録されていない媒体のURLを求められた場合は、それらしい値を返すのではなく、エラーとして止まる。また、一度読んだ内容は覚えておき、2回目以降はファイルを読み直さない。簡略化した例: 「getSnsUrl(媒体名) → 正本に登録があればそのURLを返し、無ければエラーにする」。さらに、AIが作業時に読むルール文書に、「公式URLやSNSアカウント、問い合わせ先が必要な場合は、運営者に確認する前にまずこの正本を見ること。推測でURLを作らないこと」という一文を追記した。
失敗原因
探し直しが続いた原因は、公式リンクという「変わることが少なく、何度も使う情報」に、決まった置き場所が無かったことにある。置き場所が無いと、そのつど一番近くにある値を使うことになり、場所によって古い値や推測の値が混ざるおそれもある。AIに作業を任せている場合は特に、「どこを見れば正しい値があるか」をルールとして明示しておかないと、AIはその場で手に入る情報からそれらしい値を組み立ててしまう。人が作業する場合も同じで、正しい値の置き場所が決まっていれば、探す時間も、確認の往復も要らなくなる。
改善
正本の作成とあわせて、読み出し用の関数と、AIのルール文書への参照ルールの3点をそろえた。ファイルを作るだけでは、そのファイルを見に行く習慣が無ければ使われないためである。また、正本の各項目が正しく読み出せること、秘密情報にあたる項目が含まれていないこと、AIのルール文書に参照ルールが書かれていることを、自動テストで確認できるようにした。この「繰り返し使う情報は1か所に正本を作る」という考え方は、その後、記事や商品の材料になる実体験を記録しておく社内のノウハウ記録の設計にも引き継いでいる。
現在の結論
2026年9月2日以降、J-WORKSの公式リンクは1つの正本から読み出す形になり、AIには「まず正本を見る、推測でURLを書かない」というルールが明示された。同じ情報を何度も探す作業が発生したら、それは正本を1か所に作るべき合図である。AIに文章や設定を作らせている場合は、公式URLや連絡先のような値を、AIの記憶や推測に任せず、決まったファイルから読ませることをおすすめする。その際、登録の無い値を求められたら空欄や推測で埋めずに止まる作りにしておくと、誤ったURLの公開を防ぎやすい。正本を作るときのポイントは、(1)何度も使い、変わることの少ない情報から始める、(2)公開してよい情報だけを入れ、秘密情報は別に管理する、(3)誰がいつ値を確認したかを残す、(4)読み出す仕組みと、そこを見に行くルールの両方を用意する、の4点である。値を変えるときは正本だけを書き換えればよいので、古いURLが一部に残る、といった事故も防ぎやすくなる。
根拠
2026-09-02(JST)に実装した変更の記録(変更内容とコミットメッセージ)と、その変更で追加した自動テスト、およびJ-WORKS社内のノウハウ記録による。